文学部開設科目― 15 ―出版とはどのような営みか理解することを目的とします。学術や情報、娯楽を提供する文化的営みであるとともに、その複製物を頒布・販売する経済的な営みでもある出版は、どのような歩みをたどり、どのようにして成り立っているか、出版界の現状や仕組みとともに出版を起業した人々の業績を通して講義します。また長く出版社に勤務した経験をもとに、本造りの基礎も話していこうと思います。到達目標出版という営み(現状・流通・出版史)の概要を説明できること。また江戸時代から現代まで、代表的な出版起業者たちの業績を時代背景とともに類別して理解できること。授業外学修内容・毎回、授業前に配布するレジュメによる予習、復習に45時間以上の授業外学修を行うこと。また授業内で示される参考図書授業外学修時間数の閲読に20時間の授業外学修して理解を深めること。【第1回】講義の目的と進め方。出版の定義、産業としての位置付け【第2回】出版売上、出版点数、出版社数、書店数などの推移から見る出版の現状【第3回】出版社という企業の組織と仕事、二極化と寡占化・系列化【第4回】出版流通1 本はどのようにして読者のもとへ届くのか。出版社と取次、書店【第5回】出版流通2 出版流通を支える委託販売制度、再販売価格維持制度とその問題点【第6回】本造りの基礎知識。企画・編集と印刷製本。出版に不可欠な原価計算【第7回】出版と出版起業者の歴史1 文字の使用から営利出版の始まりまで【第8回】活字印刷で発展した営利出版が木版へ回帰する【第9回】2 江戸の出版繁盛。蔦屋重三郎の仕事【第10回】3 幕府の出版統制から明治維新へ【第11回】4 明治後期、産業革命と教育がもたらした出版離陸。博文館の大橋親子の業績【第12回】5 資本主義的産業としての出版。講談社の野間清治と岩波書店の岩波茂雄【第13回】6 焼跡から始まった戦後出版。小川菊松の『日米会話手帳』と花森安治の『暮しの手帖』【第14回】7 角川三代(源義・春樹・歴彦)と幻冬舎に見る、戦後から現代への出版【第15回】現代において出版起業は可能か?「ひとり出版社」という起業トを40%として配分して評価『読書と日本人』津野海太郎(岩波書店)2016、『江戸の本屋さん』今野洋三(平凡社)2017、『蔦屋重三郎』鈴木俊幸(平凡社)2012、『ベストセラー全史 近代編』澤村修治(筑摩書房)2019、『ベストセラー全史 現代編』澤村修治(筑摩書房)2019、『日本マンガ全史』澤村修治(平凡社)2020、『出版と権力 講談社と野間家の110年』魚住 昭(講談社)2021、『岩波茂雄』中島岳志(岩波書店)2013、『花森安治伝』津野海太郎(新潮社)2016教員からのお知らせ積極的に質問してもらいたいと思います。時間の許す限り回答します。また出版界への就職などの相談についても応じたいオフィスアワー授業に関する質問や相談は、原則として授業終了後、次の授業に支障のない範囲で教室内で対応しますが、LSMのメッセーアクティブ・ラーニングの内容意見共有、能動的な授業外学修など。と思います。ジ機能でも受け付け、必ず回答します。講師は出版社に長く勤務して雑誌、書籍、百科事典、写真集などの編集に携わり、また経営にも参画しました。多くの作家、研究者、写真家の方々ともさまざまなお付き合いを経験してきました。講義は多岐にわたるため、その経験の多くを話す時間は限られていますが、松本清張、瀬戸内寂聴、村上春樹氏などとのエピソードも、折に触れてお話したいと思います。抽 選 の 有 無あり備考石川 順一第2期講義コード11B4132101授業形態講義科目名出版起業論履修前提条件授業の目的授業計画成績評価の方法出席、授業内や授業後における質問など、授業への取り組みに30%、中間での小テストまたはレポートに30%、期末レポーフィードバックの内容講義内容についての質問は講義中、講義後に対応しますが、LSMへの投稿でも必ず回答します。教科書指定図書参考書その他 担 当 教 員 開 講 期
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